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王国時代の冬衣裳/首里那覇鳥瞰図屏風/沈金・堆錦の漆器

開催終了 特別展

王国時代の冬衣裳/首里那覇鳥瞰図屏風/沈金・堆錦の漆器

会期:2022-02-04(金) ~ 2022-03-02(水)

 特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。


 2月の美術工芸資料は、染織資料は尚家資料と福地家(ふくちけ)資料から『王国時代の冬衣裳』をご紹介します。
 気候が温暖な琉球でも、冬になると絹や木綿(もめん)で出来た防寒着を着用しました。木綿は現在では夏物という印象が強いのですが、苧麻(ちょま)や芭蕉(ばしょう)よりふっくらとして暖かいため、冬物として利用されていました。木綿は栽培が難しく、貴重な繊維だったため、主に士族層が着用し、庶民にとっては贅沢品でした。
 上級士族は、さらに裏地を付けて袷衣裳(あわせいしょう)にし、防寒性を高めました。また、内側に中国式の丈が短い絹製の袷衣裳「馬掛子(マークヮー)」「唐(とう)ビーター」を重ね着することもありました。


 調度品は『首里那覇鳥瞰図屏風/沈金・堆錦の漆器』と題して、王国時代の風景を描いた屏風と、漆器をご紹介します。
 「首里那覇鳥瞰図屏風(しゅりなはちょうかんずびょうぶ)」は、王国時代の首里から那覇の前島付近までの風景を描いています。このような上空から見下ろす形で描いた絵を、空を飛ぶ鳥の目線から描いた図という意味で「鳥瞰図(ちょうかんず)」と呼びます。よく見ると、右上の首里城正殿には鶴が描かれた簾(すだれ)がかけられています。これは王国時代の首里城の正月飾りで、正月の様子を描いた風景という事が分かります。
 「朱漆芭蕉万年青文沈金堆錦衝立(しゅうるしばしょうおもともんちんきんついきんついたて)」は、片面が芭蕉(ばしょう)、もう片面が万年青(おもと)の文様が沈金(ちんきん)で描かれています。縁の部分には色とりどりの貝と海藻が堆錦(ついきん)で描かれています。


 また、横内家(よこうちけ)資料から『神猫図(しんびょうず)』、尚家文書から『芥子園画伝(かいしえんがでん)』をご紹介します。
 『神猫図』の作者、山口宗季(やまぐちそうき)(唐名・呉師虔(ごしけん)/号・雲谷/1672~1743)は、20歳で王府の絵師となり、32歳で中国・福州に留学し、花鳥画の第一人者である孫億(そんおく)らから絵を学びました。その画才を高く評価され、琉球に帰国後は上級絵師として活躍し、後進の育成とともに御後絵(おごえ・国王の肖像画)や円覚寺の仏画制作などに携わりました。
 本画は、神秘的なまなざしと柔らかい空気をはらんだ体躯を、巧みな筆致と淡彩で表現した、近世琉球絵画の名品です。
 『芥子園画伝(かいしえんがでん)』は、中国・清代に刊行された彩色版画絵手本で、歴代の絵画論や山水花鳥などの絵画技法を解説した書籍です。元来門外不出だった絵師の技術を解説文と挿絵を用いて整理した初めての書物で、一般に広く普及しました。
 「中城御殿」の朱印があり、尚家の御物だったことが分かります。


 王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をどうぞご覧ください。


※今後状況により日程等に変更が生じる場合があります。

美術工芸資料 ・空色地梅紅葉松鳥菱繋文様紅型木綿袷衣裳(そらいろじうめもみじまつとりひしつなぎもんようびんがたもめんあわせいしょう)
【国宝尚家資料】
・紫地段鋸歯繋文様花織平絹袷衣裳(むらさきじだんきょしつなぎもんようはなおりひらぎぬあわせいしょう)
【国宝尚家資料】
・紺地蝙蝠丸紋絹袷馬掛(こんじこうもりまるもんきぬあわせマークヮー)
【福地家資料】
・首里那覇鳥瞰図屏風(しゅりなはちょうかんずびょうぶ)
【伊江家資料・県指定文化財】
・朱漆芭蕉万年青文沈金堆錦衝立(しゅうるしばしょうおもともんちんきんついきんついたて)
【大里資料】
・芥子園画伝(かいしえんがでん)【尚家関係資料】
・神猫図(しんびょうず)【横内家資料・県指定文化財】
・緑釉四方燭台(りょくゆうしほうしょくだい)
【国宝尚家資料】
・玉冠(ぎょくかん)[レプリカ]

主な展示品

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空色地梅紅葉松鳥菱繋文様紅型木綿袷衣裳 (そらいろじうめもみじまつとりひしつなぎもんようびんがたもめんあわせいしょう)

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紫地段鋸歯繋文様花織平絹袷衣裳 (むらさきじだんきょしつなぎもんようはなおりひらぎぬあわせいしょう)

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緑釉四方燭台 (りょくゆうしほうしょくだい)

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