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【特別展】ロイヤルカラーの黄色地衣裳と王国時代の色材/美御前御揃~王家の御道具~

開催終了 特別展

【特別展】ロイヤルカラーの黄色地衣裳と王国時代の色材/美御前御揃~王家の御道具~

会期:2024-05-03(金) ~ 2024-05-29(水)

特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。



今月は尚家資料から「ロイヤルカラーの黄色地衣裳と王国時代の色材~科学の目でみる王国の色と色材~」をご紹介します。

琉球では黄色地の衣裳は「チールジー」とよばれ、王家のみが使用できるロイヤルカラーとして特別な意味を持っていました。

当館では2001(平成13)年から2019(令和元)年にかけて、国宝・琉球国王尚家関係資料及び福地家(ふくちけ)資料ほかの美術工芸資料83点に使用された色材の非破壊分析調査を行いました。

その結果、輝くばかりの鮮やかな黄色は、石黄(せきおう)という高価な輸入顔料や、黄檗(きはだ)などの染料で染められていることが判明しました。

この度、長年にわたる調査の成果をまとめた報告書『科学の目でみる琉球王国の色とその色材』が出版されたことを記念して、ロイヤルカラーの黄色地衣裳の調査結果と、使用された色材を展示します。


調度品は、「美御前御揃(ヌーメーウスリー)~王家の御道具~」をご紹介します。

美御前御揃(ヌーメーウスリー)とは、琉球国王と王族が、首里城のプライベートな生活の場にあたる御内原(ウーチバラ)で正月や祝日などの祝宴に用いたとされる、琉球の特徴的な道具揃の事です。

中央に金・銀器、右に御籠飯(ウクファン)、左に御玉貫(ウタマシチ)を配し、それぞれを高い脚付盆に据えます。中央の金杯は国王だけが使用しました。

当館では、記録に基づき尚家伝来の器物を組み合わせて往時の「美御前御揃」を復元しています。

これらの器物は、意匠や技法が微妙に異なることから、同時期に製作されたものではないと見られ、補充などを経て現在の形になったと考えられます。


文書資料は、「僉議」をご紹介します。

琉球王国の最高政務機関である評定所において各種に案件を協議し採決することを僉議といいます。

協議内容は、所領拝領、相続問題から壮麗や生霊の問題など多方面に及んでいます。首里王府の意思決定過程を分析するうえで貴重な史料です。

尚家文書の中には、僉議を記録した史料が22件確認されています。


さらに「国宝の修理事業」と題して国宝指定の「琉球国王尚家関係資料」の修理事業についてご紹介します。

尚家資料のなかには損傷が激しく、今後の保存管理や公開に支障をきたす資料も存在します。これらの資料については、文化庁や財団の補助を受けて継続的に修理事業が実施されています。

国宝修理は高度な技術と資料を安全に保管する施設が必須となるため、「琉球国王尚家関係資料」は最新の資料管理施設を備える九州国立博物館内で修理されています。

修理済みの資料は展示公開するたけでなく、複製などを作りより多くの方々が資料を利用できるように努めています。



王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。