空色地の紅型衣裳/美御前御揃
特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。
今月の衣裳は空色地の紅型衣裳をご紹介します。
王国時代の紅型衣裳は、白地、黄色地、紅色地など様々な地色がありますが、涼やかな水色地(空色地)の衣裳も数多く残されています。
青色の原料となる藍(あい)は、染める回数によってごく薄い水色から濃紺まで、様々な青色を染めることが出来ます。
藍染めには、本土では蓼藍(たであい)が多く使われますが、琉球では琉球藍、蓼藍、インド藍など複数の藍が使われました。中でも亜熱帯気候の中で栽培しやすい琉球藍が最も多く利用されました。琉球ではこの藍で、浅地(あさじ)(水色地)や紺地(こんじ)の衣裳が作られました。
調度品は、先月に引き続き「美御前御揃(ヌーメーウスリー)」をご紹介します。
美御前御揃とは、琉球国王と王族が、首里城のプライベートな生活の場にあたる御内原(ウーチバラ)で、正月や祝日などの祝宴に用いたとされる、琉球の特徴的な道具揃の事です。
中央に金・銀器、右に御籠飯(ウクファン)、左に御玉貫(ウタマヌチ)を配し、それぞれを高い脚付盆(あしつきぼん)に据えます。中央の金杯は国王だけが使用しました。当館では記録に基づき尚家伝来の器物を組み合わせ、往時の「美御前御揃」を再現しています。
これらの器物は、意匠や技法が微妙に異なることから、同時期に製作されたものではないと見られ、補充などを経て現在の形になったと考えられます。
文書も先月に引き続き、第17代尚灝王の婦人であり、第18代尚育王の実母にあたる具志堅按司加那志と、太子尚典の御守役に抜擢された百名朝起に関係する資料を紹介します。
王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。