【特別展】松竹梅の紅型衣裳/朱漆と沈金の漆器
会期:2025-01-10(金) ~ 2025-02-05(水)
特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。
衣裳はお正月にちなんでおめでたい松竹梅の衣裳をご紹介します。
松竹梅は中国の「歳寒三友(さいかんさんゆう)」という考え方が起源と言われています。
松と竹は寒い冬でも緑を保ち、梅は寒中に花を咲かせることから、心や行いが正しく、自分の信じる主張を守りとおすことを表したものとされていました。これが日本に伝わり、さらに松・竹が常緑であることと梅が寒中に花開くことを、不老長寿を表していると考えるようになりました。
松竹梅は吉祥や慶事の象徴として、祝いの席で詠われたり、調度品や晴着の衣裳の文様などに広く使われています。
鶴亀と並んで、もっとも人々に親しまれているめでたさのシンボルといえます。
調度品は、朱漆と沈金の漆器をご紹介します。
琉球王国時代、漆器は中国や日本へ琉球の威信を示す献上品であり、王国の経済基盤を支える重要な工芸品でした。王府は貝摺奉行所(かいずりぶぎょうしょ)を設置して生産管理を行い、その高度な品質を維持しました。
琉球での漆器製作は15世紀頃から始まり、16~17世紀に螺鈿(らでん)・箔絵(はくえ)・沈金(ちんきん)など様々な技法が発達しました。
17世紀の薩摩侵攻以後は日本の武家社会の「唐風好み」にあわせた中国的な意匠の黒漆(くろうるし)や、螺鈿(らでん)の漆器が盛んに作られました。
王国時代の漆器の中でも、朱漆(しゅうるし)に沈金(ちんきん)で緻密な模様を隙間なく埋め尽くしたものは、王家や上級士族だけが用いた格式の高い特別なものとされています。
文書資料は、国の重要指定文化財である伊江御殿家資料をご紹介します。家譜や仕次、辞令書といった文書をご覧いただけます。
王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。