那覇市内史跡・旧跡詳細
ガジャンビラ
垣花(かきのはな)から安次嶺(あしみね)にいたる坂道の名称。付近―帯を指す地名にもなっている。
琉球王国時代、中国からの使節「冊封使(さっぽうし)」は、この地を指して「儀間山(ぎまやま)」・「筆架山(ひっかざん)」と記しているが、1877年刊行の『沖縄志(おきなわし)』(伊地知貞馨(いじちさだか)著)の那覇港図には、「蚊坂(ガジャンビラ)」とあり、ガジャンビラと呼ばれていたことがわかる。
名称の由来は定かではないが、『南島風土記(なんとうふどき)』(東恩納寛惇(ひがしおんなかんじゅん)著)は、坂の付近に住む人名または屋号(やごう)をとって、「我謝の坂(ガジャヌヒラ)」から転訛したものではないかと記している。一方、那覇の民話では「昔、中国から持ち帰ってきた蚊が、この坂の上で逃げてしまい、ここから琉球国中に広まった」と伝えている。
1905年(明治38)に始まった垣花と糸満(いとまん)村を結ぶ県道工事により、ガジャンビラの坂道は整備され、1918年(大正7)には馬車軌道も敷設された。坂の両側や付近の丘陵には松が生い茂り、また、坂の頂上からの眺望はすばらしく、眼下に見下ろす那覇・垣花の街並みは、絵画や絵ハガキの題材にもなった。
1945年(昭和20)の沖縄戦の後、坂一帯は米軍基地となったが、1972年(昭和47)の日本復帰後、ガジャンビラを含む旧県道は、那覇糸満間の幹線道路国道331号として整備された。1984年(昭和59)には国道331号山下(やました)高架道開通により、ガジャンビラの一部は旧道となった。
所在 | 那覇市垣花町3丁目 |
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分類 | 地名・名勝 |
場所 | 旧那覇 |
備考 | 2003年(平成15)9月設置。平成14年度旧跡標示事業。モノレール那覇空港駅より車約5分。国道331号線「鏡水」交差点より北東へ徒歩約4分。 |