展示会詳細
王家の上布衣裳/三線と工工四
会期:2024-03-29(金) ~ 2024-04-29(月)
特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。
今月は尚家資料より王家の上布衣裳をご紹介します。
琉球王国時代、宮古・八重山地方では盛んに苧麻(ちょま)が栽培され、苧麻布が生産されていました。
苧麻布は品質によって上布(じょうふ)・中布(ちゅうふ)・下布(げふ)・下下(げげ)布(ふ)に選別され、王府に税金として納められました。
こうした苧麻布のうち、上布は衣裳の素材として利用されました。尚家(しょうけ)にも上布の衣裳が多数伝来しており、琉球の最高品質の苧麻布をみることができます。
上布はさらりとした肌触りで涼しく、高温多湿の琉球で夏衣裳の素材として好まれました。当館が所蔵する尚家の染織資料57領のうち約1/3にあたる18領が苧麻の衣裳で、琉球王家でも上布が多用されていたことが分かります。
調度品は先月に引き続き、当館所蔵の三線(さんしん)や工工四(くんくんしー)をご紹介します。
琉球では、海外からの賓客をもてなす場で歌舞音曲を演じる役割を士族男子が担っていため、士族の教養として三線の習得が奨励されました。近代以降、庶民の間にも広く根付き、現在では沖縄の人々の生活に切っても切り離せないものとなっています。
三線は琉球から日本へ伝わり三味線(しゃみせん)となりました。胴の部分には元々紙や皮が貼られていましたが、琉球ではニシキヘビの皮が貼られています。
文書資料も先月に引き続き、尚家に伝わる工工四や平親雲上朝彬の文書などをご紹介します。
川平親雲上朝彬(ちょうひん)は、最後の琉球国王尚泰に仕え、琉球音楽の大家である野村親雲上安趙(あんちょう)に歌・三線を師事しました。
朝彬は尚泰の命により工工四を献上しますが、作成するにあたって離島の民俗音楽も収集したといわれています。
今回展示する川平家資料は、「「歌道要法(かどうようほう)」、「琉歌言葉之仮名綴見合(りゅうかことばのかなつづりみあわせ」、「三線四種之調子音調之次第 外」で、これらはその時の収集資料と思われます。
王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。