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王国時代の紅型と鎌倉芳太郎/三線と工工四

開催終了 特別展

王国時代の紅型と鎌倉芳太郎/三線と工工四

会期:2022-03-04(金) ~ 2022-03-30(水)

 特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。


 3月は『鎌倉芳太郎展~その業績と遺した資料~』と題し、大正末期から昭和初期にかけて沖縄を調査した鎌倉芳太郎(かまくらよしたろう/1898~1983)の業績と収集した資料を、「鎌倉芳太郎の琉球芸術調査」「鎌倉芳太郎と首里城」「王国時代の紅型と鎌倉芳太郎」という3つのテーマで、尚家資料を交えてご紹介します。

 「鎌倉芳太郎の琉球芸術調査」では、鎌倉が大正末期から昭和初期にかけて行った琉球芸術調査についてご紹介します。その調査の範囲は、専門とする美術工芸から始まり、建築、文学、民俗、芸能そして歴史と多岐にわたります。特に各地に残る文化財や習俗などを収めた写真資料は、現在では失われてしまった文化財の姿を知る貴重な資料となっています。
 収集した資料の一つである、壺屋の窯跡を記録した図面は、発掘の様子が正確に描かれ、今では失われてしまった窯跡の様子をうかがうことが出来ます。
 「鎌倉芳太郎と首里城」では、戦前取り壊される寸前だった首里城が、鎌倉の働きかけによって差し止められた経緯を、鎌倉が収集した資料と首里城の写真とともにご紹介します。なかでも王国時代の首里城の図面は、平成の首里城建設の際に使用され、尚家に伝わる同様の図面“百浦添御普請絵図帳(ももうらそえごふしんえずちょう)”とともに、令和の首里城復元に用いられる貴重な資料として重要視されています。今回は、鎌倉版と尚家版を比較できるよう、2点を並べて特別展示いたします。
 「王国時代の紅型と鎌倉芳太郎」では、鎌倉の収集した染織資料から、紅型型紙をご紹介します。
 鎌倉は琉球芸術調査の一環として、紅型関係の資料収集と技法の調査を行いました。王国時代に王家の衣裳染めを担った澤岻(たくし)家、城間(しろま)家、知念(ちねん)家などから染め技法の聞き取りを行い、型紙や染め見本等を譲り受けました。これら三家に残された型紙には、尚家に伝来した紅型衣裳と類似する図案の型紙も含まれています。鎌倉が収集した型紙と、模様の類似する尚家と福地家の紅型衣裳を並べて展示していますので、どこが違うのか見比べてみて頂ければと思います。


 さらに、『三線と工工四(クンクンシ―)』と題して、当館所蔵の三線と胡弓、尚家に伝わる工工四をご紹介します。
 三線は14~15世紀頃に中国から伝わったといわれています。琉球では、海外からの賓客をもてなす場で演じられる歌舞音曲を担当するのは士族男子であったため、士族の教養として三線の習得が奨励されました。近代以降庶民の間にも広く根付き、人々の生活に溶け込んでいます。
 工工四は琉球古典音楽の楽譜です。屋嘉比朝寄(やかび ちょうき/1716~1775)が中国の楽譜を参考にして作ったのが最初といわれています。この工工四は「欽定(きんてい)工工四」ともいわれ、琉球国王尚泰の上意によって、咸豊8年(1858)に野村流の租である野村安趙(のむらあんちょう)と高弟の松村真信(まつむらしんしん)の師弟によって完成されました。


王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をどうぞご覧ください。

美術工芸資料 ・黄色地鳳凰牡丹扇面文様紅型綾袷衣裳(胴衣)
(きいろじほうおうぼたんせんめんもんようびんがたあやあわせいしょう(どぅじん))
【国宝尚家資料】
・鳳凰瑞雲と扇牡丹模様白地型紙
(ほうおうずいうんとおうぎぼたんもようしろじかたがみ)
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】
・空色地花籠燕文様紅型苧麻衣裳
(そらいろじはなかごつばめもんようびんがたちょまいしょう)
【国宝尚家資料】
・花籠牡丹燕模様白地型紙
(はなかごぼたんつばめもようしろじかたがみ)
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】
・水色地雷文瑞雲梅文様苧麻紅型ドゥジン
(みずいろじかみなりずいうんうめもんようちょまびんがたドゥジン)
【福地家資料】
・縞に雷瑞雲梅模様染地型紙
(しまにかみなりずいうんうめもようそめじかたがみ)
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】
・壱石(イチククウ)【金武家資料】
・又吉開鐘(またよしケイジョウ)【金武家資料】
・友寄開鐘(トゥムシケイジョウ)【宮城家資料】
・宮城の真壁(みやぎのまかべ)【宮城家資料】
・胡弓(クーチョー)【金武家資料】
・工工四(クンクンシ―)【国宝尚家資料】
・緑釉四方燭台(りょくゆうしほうしょくだい)
【国宝尚家資料】
・玉冠(ぎょくかん)[レプリカ]
文書資料 ・百浦添正面図
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】
・玻豊絵図
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】
・百浦添普請絵図帳【国宝尚家資料】
考古資料 ・カマニー発掘
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】
・陶磁器片資料一式
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵 鎌倉芳太郎資料】

主な展示品

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黄色地鳳凰牡丹扇面文様紅型綾袷衣裳(胴衣) (きいろじほうおうぼたんせんめんもんようびんがたあやあわせいしょう(どぅじん))

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空色地花籠燕文様紅型苧麻衣裳 (そらいろじはなかごつばめもんようびんがたちょまいしょう)

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工工四 上巻

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工工四 中巻

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工工四 下巻

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工工四拾遺

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緑釉四方燭台 (りょくゆうしほうしょくだい)

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玉冠(付簪) (ぎょくかん(つきかんざし))

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